あらすじ：太田勝造（緒形拳）と駆け落ちした豊竹呂鶴（池上季実子）は追手の手にかかり死亡。二十年後、二人の間に生まれた房子（池上季実子・二役）は、陽暉楼の芸妓“桃若”として大変な売れっ子になっていた。陽暉楼の女将・お袖は、呂鶴と勝造を奪い合った勝気な女だったが、呂鶴の娘をあえて預かり、高知一の芸妓に仕上げ、自分のあとを継がせるつもりでいた。

あらすじ：時は明治の夜明け、最果ての地・北海道石狩原野。文明開花の波に酔いしれる世間の裏側で、石狩平野に設けられた樺戸集治監（刑務所）では、全国から集められた政治犯、殺人犯などの重罪人たちが、北海道開拓のため強制労働に駆り立てられていた。典獄（刑務所長）としてその頂点に君臨する月潟剛史（仲代達矢）の前に、ゆう（岩下志麻）が現れる。

あらすじ：1914年（大正3年）。高知の下町で生まれた女性・喜和（十朱幸代）は、15歳の若さで芸妓のスカウトを生業とする岩伍（緒形拳）のもとに嫁ぐ。岩伍は、旅先から高知へ菊という少女を連れて帰り、やがて豊美という少女も預かるように。それから12年後、成長した豊美（名取裕子）は染勇と名乗る高知一の芸者になっていた。しかし、岩伍は妻以外の女性と子どもをつくった揚げ句、その子を育てよと喜和に告げる。喜和は岩伍とどう関係を続けるか悩むが…。

あらすじ：18歳の春、久乃（名取裕子）は父親の借金を肩代わりするため、遊女として吉原の中梅楼に売られ、“若汐”という源氏名を与えられる。当初は遊女の仕事を嫌った久乃だが、先輩の花魁、九重（二宮さよ子）から吉原のしきたりを教わるなどして次第に吉原になじむようになり、3年の年月がたつ。吉原で一番人気の花魁となった“若汐”は花魁名跡“紫”を継承するが、客の信輔（根津甚八）から大金をもらった“紫”は、自身で花魁道中をしようと考えるようになり……。

あらすじ：大正10年の四国、土佐。地元の侠客である鬼龍院家の主人・政五郎（仲代達矢）、人呼んで“鬼政”は松恵（夏目雅子）という養女を取った。やがて成長した彼女は、義父・鬼政の反対にも耳を貸さず、女学校に入学して自立を目指す。その一方、鬼政は愛人に生ませた娘、花子のほうを溺愛するようなっていた。松恵は高校教師の田辺と恋に落ち、結婚を決めるが、彼を近い将来花子の婿にしようと考えていた鬼政はこれを許さず、松恵は家を飛び出してしまう。

あらすじ：時は昭和3年。熊本の花街・二本木。男と女の欲望と愛憎がうずまく料亭・八雲に、一人の女胴師がやってきた。かつて八雲の娘であった城島りん（樋口可南子）。またの名を、“不知火おりん”。ある日おりんは、偶然弟の市太郎（本木雅弘）に出会う。若旦那として八雲を切り盛りしているはずの市太郎が、借金取りに追われていた。熊本の岩船一家が八雲を乗っ取り、市太郎はそこを追われてしまったと言う。八雲はいまや、岩船一家の足場となり、博奕打ちと芸者が徘徊する、色と欲の悪臭に満ちた場になり下がっていた。おりんは八雲を市太郎の手に戻すため、一人岩船一家に乗り込むことを決心するのだが…。