ユダヤ系ポーランド人のシュピルマン（エイドリアン・ブロディ）は、才能のある若きピアニスト。しかし、第二次世界大戦が勃発すると、家族と暮らすワルシャワはナチスドイツに占拠され、ゲットーに移住させられることに。とてもピアノを弾いていられる状況ではなくなってしまう。何十万ものユダヤ人が強制収容所送りとなる中、奇跡的に難を逃れたシュピルマンだったが、ある夜、一人のドイツ人将校に見つかり…。

実在のピアニストの体験記をもとに描かれた傑作映画。自らもゲットーで過ごし、実母をユダヤ人強制収容所で亡くすという原体験を持つロマン・ポランスキー監督の、静かながら強く訴えかけるような筆致が観る者の心に突き刺さる。主演のエイドリアン・ブロディは本作で第75回アカデミー賞主演男優賞を受賞しており、これは今も破られていない最年少記録である。

またブロディは、今年の第97回アカデミー賞にて『ブルータリスト』で主演男優賞にを受賞。同作でホロコーストを逃れてハンガリーからアメリカへ渡ったユダヤ系建築家を演じるにあたり、『戦場のピアニスト』での経験が生かされたと語っている。

≫≫『戦場のピアニスト』詳細

1948年の夏、ジョージア州アトランタ。元教師の老婦人デイジー（ジェシカ・タンディ）は、愛車に乗って買い物に出かけようとしたところ、運転を誤り隣家の垣根に突っ込んでしまう。亡くなった夫に代わり社長となった息子のブーリー（ダン・エイクロイド）は、そんな母親を心配して黒人のホーク（モーガン・フリーマン）を運転手として雇うことにする。最初はホークに対して冷たい態度をとっていたデイジーだったが、一台の車の中、ともに時間を過ごすうちに、二人の間には友情が芽生え始める。

階級や肌の色、性別、教養レベルなど、何もかもが違うデイジーとホークの25年にわたる交流を描いた感動のヒューマンドラマ。読み書きができないホークに、先生だったデイジーが指導をしたり、教科書をプレゼントしたりするシーンには、何とも言えない温かさが滲む。また、そんな優しい物語の中には、有色人種に対する差別やユダヤ人に対する偏見といった重大なテーマも組み込まれている。デイジー役のジェシカ・タンディは、本作でアカデミー主演女優賞を受賞。当時80歳、史上最高齢の受賞者となった。

≫≫『ドライビングＭｉｓｓデイジー』詳細

弁護士のマット（ジョージ・クルーニー）は、妻・エリザベス（パトリシア・ヘイスティ）と二人の娘とともにホノルルで暮らしていた。誰もが羨むような生活だったが、エリザベスがボート事故に遭い昏睡状態に陥ったことをきっかけに、彼女の不倫が発覚。しかも、その事実を長女が知っていたことに愕然とする。さらに、カメハメハ大王の血を引く先祖から継承した広大な土地の処遇についても決断を下すように親族から迫られるマット。自らの人生、家族、ルーツと向き合うことになった男の決断とは？

ハワイ出身の作家カウイ・ハート・ヘミングスが2007年に発表した同名小説が原作。『サイドウェイ』（2004年）などで知られるアレクサンダー・ペインが監督を務めた同作は、第84回アカデミー賞で脚色賞を受賞した。描かれるテーマは深刻だが、ユーモアを織り交ぜた軽妙な語り口や、ハワイの美しい風景と和やかな音楽も相まって、心が癒されるような仕上がりとなっている。

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1953年、ロサンゼルス。ダウンタウンのカフェで6人の男女が惨殺される事件が発生する。被害者の中には元刑事もおり、その相棒であったバド（ラッセル・クロウ）は捜査を開始。スターに似た女性ばかりを集めた高級娼婦グループの一人で、女優ヴェロニカ・レイクに似たリン（キム・ベイシンガー）に接触する。野心家のエド（ガイ・ピアース）、ベテラン刑事のジャック（ケヴィン・スペイシー）も真相究明に奔走し、ついに容疑者を射殺。事件は解決したように思われたが…。

過去のトラウマから女性に暴力を振るう男を許さない熱血漢のバド、殉職した父親を目標に出世を目指すエリート若手刑事エド、刑事ドラマのアドバイザーを務めるなど華やかに活躍しながら裏では記者に内部情報を流して金を受け取っているジャック。それぞれに個性的な3人の刑事を、実力派俳優たちが熱演した。スリリングで予測不能な展開のなかで、それぞれの心理描写が丁寧に描かれておりヒューマンドラマとしても見ごたえ抜群。

≫≫『Ｌ．Ａ．コンフィデンシャル』詳細

貧しい世帯が集まるソウルの半地下。そこに住むキム一家は、その日暮らしの生活を送っていた。ある日、長男のギウ（チェ・ウシク）は、友人から家庭教師の仕事を紹介され、IT企業を経営するパク社長の家で働くことになる。これをきっかけに、妹と両親もパク家で仕事を得て、次第に寄生していくように…。身分を偽り、家族であることも隠しながら、巧妙にパク家の信頼を勝ち取る彼らだったが、事態は思いもよらない方向に進展していく。

アカデミー賞だけでなく、韓国映画として初めてカンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールを受賞したことで話題となった本作。世界で活躍するポン・ジュノ監督が、韓国社会の格差を鋭く描きながら、ブラックユーモアと予測不能な展開で観る者を引き込んでいく。韓国を代表する名優ソン・ガンホをはじめ、チェ・ウシクやパク・ソダムといった実力派の若手も好演。また、現在ＢＳ松竹東急で放送中の『キム秘書はいったい、なぜ？』でお馴染みのパク・ソジュンも特別出演している。

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舞台は未来の太陽系。賞金稼ぎのスパイク・スピーゲル（声：山寺宏一）らは、宇宙船「ビバップ号」に乗り、自由気ままなさすらいの日々を送っていた。そんなある日、火星のクレーター都市アルバシティーでタンクローリーの爆発事故が発生する。現場に居合わせた人々が謎の症状に次々と倒れていったことから、生物兵器によるテロの可能性を疑った火星政府は、犯人に巨額の懸賞金をかける。スパイクら「ビバップ号」の乗組員たちは、懸賞金を手に入れるため犯人捜しへと乗り出す。

SFアクションアニメ『カウボーイビバップ』の劇場版。無気力だが人情深い主人公スパイクと彼のアクションの虜になったファンも多いのではないだろうか。ジャズとロックが融合したサウンドトラックがスタイリッシュで、視覚やストーリーだけでなく、耳でも楽しませてくれる。ちなみに、2021年にはNetflixで実写版のドラマシリーズも製作されている。

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高校二年生の三田村由香（薬師丸ひろ子）が通う第一学園に、高見沢みちる（長谷川真砂美）という女子生徒が転校してくる。生徒会長に就任したみちるは、風紀を乱す生徒を取り締まるという名目で校内パトロールを敢行し、不思議な力を使って学園を意のままに作り替えていく。学園が不穏な空気に包まれるなか、由香は友人の耕児（高柳良一）とともに立ち上がる。

眉村卓の同名ベストセラー小説を原作とした青春SF映画。映像の魔術師とも呼ばれた大林宣彦監督の特徴的な映像スタイルが随所に見られ、主人公の由香が自分の持っている不思議な能力に気づくシーンなどでは、サイケデリックな演出や色彩の使い方が目を引く。また、ユーミンこと松任谷由実が歌う本作の主題歌「守ってあげたい」は大ヒットを記録した。

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